自宅のドアを開けっ放しにしていたすきに、ミムラが飛び出してしまって、
それを追っかけて出て行ってしまったっきり、君は帰って来なかった。
あの時、ライブから帰ってきたところだったから君は、
この顔のまま飛び出してしまいましたね。
と、あんなに叫んだけど、僕の声は馬橋の夜空に消えてったっけな。
・・・それも今となればいい思い出です。
君が携帯も持たずに飛び出してしまったから連絡取れなかったけど、
ミムラは、君が出ていった3日後に帰ってきたよ。
"にゃー"って言ってました。
それからずーっと、みっちゃんと一緒に、君の帰りを待ってます。
そのみっちゃんはというと、最近、家の隣に大学生が一人暮らしをし初めて、
その大学生が挨拶する時、みっちゃんの胸に向かって話かけているようで、
いつも"けがわらしい"と怒っています。
そうそう、ハッサンの家は、たつきが中三になってギターを持ち初めたよ。
ただ、ハッサンの方は、ボーダー好きがエスカレートして上着だけでなく、
スボンまでボーダーにしてしまって、遠目で見ると捕まった人みたいになってる。
あと、最近やたらと楳図かずおの"漂流教室"をゴリ押ししてきて、
今更だし、満面の笑みを浮かべてるから本当に困ってます。えっ!!?僕のことはって?
・・・・こっちは相変わらずだよ。
仲良かったみんなは結婚してしまったけど、僕は変わらずの童貞。
セカンドを通り越して右中間に飛んで、童貞街道まっしぐらだよ。
今回、アフリカで君の消息が確認取れたので手紙を書きました。
いつも馬橋で下車せずに、なぜか取手まで行ってしまっていた君に、
ミムラを追いかけて、どうやったらアフリカに辿りつけるのかは聞きません。
だから、みんな君の帰りを待っているので連絡下さい。
追伸、
アフリカで君の消息が確認とれた時、あの時、
なぜ君がチェワ語を習得しようとしていたか分かった気がします。
20年目にして君の事が初めてわかって本当にうれしかったです。
2025年5月22日 新島